11月23日、勤労感謝の日ということで、僭越ながら私も代休を取らせていただきました。
勤労感謝の日は、かつては全国行事として一般的であったという新嘗祭(にいなめさい)に
由来します。その年に収穫した新穀を神様へ奉って恵みに感謝し、口にするものです。
新嘗祭は、祈年祭と相対する重要な祭祀として現在でも各地の神社で行われています。
穀物や作物に限らず、幅広い意味で「生産」をねぎらい感謝する祭日となったわけですね。
さて、こちらの写真の場所は多摩モノレール沿線にある某ショッピングモールの歩道です。
アスファルトの隙間から生えているのは在来種のニシキソウ。東京都の準絶滅危惧種です。
もしもこれが10年前であれば、当時は見つけることすら困難な希少種になっていたので、
小躍りしたに違いありません。しかしながら、不思議なことに、2010年代の半ば頃から
産地が急激に増加し、あちこちの道ばたで見かけるようになりました。探しても探しても
外来種のコニシキソウばかりだったあの頃が嘘のように、ニシキソウが現れ始めたのです。
その増加要因は不明なのですが、新しく建設された施設の周囲や再開発エリアの植え込み、
造成されて間もない空地や道路などでの生育が特に目立つことから、古くからの生き残りと
いうよりも、やはり新たに定着して広がったものがほとんどであり、しかもそうした現象が
首都圏の各地で同時多発的に起きているのではないかと私は推測しています。
コニシキソウをはじめとする外来ニシキソウ類が幅を利かせるようになって以降、すっかり
息を潜めてしまった在来のニシキソウですが、競合する相手がいない状況下では
パイオニア的性質を発揮し、どんなに過酷な環境でも案外へっちゃらなのかもしれません。
今後も“都市型ニシキソウ”に注目し、記録を続けていきたいと思います。
ニシキソウは誰も見向きもせずに素通りしていきますが、近くで美しいグラデーションを
披露していたコデマリの紅葉も大半の方はスルー。花が咲いていなくても、綺麗な草木の
妙に目を奪われてしまうのは、特殊な“フィールドワーカーの性”なんでしょうかね?
追記:22日未明に自宅のベランダで渡りの途中と思われるヒナコウモリの声を聴きました。
読者の方からも、23日夜にヒナコウモリの声を聴いたとの情報をお寄せいただきました。
由木地区のヒナコウモリについては下記の記事をご参照下さい。