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今年もカタクリ1年生

3月18日、長池公園ではカタクリがいくつも蕾を付けています。もちろん、開花を心待ちに

しているのですが、群落全体の生育状態の観察も欠かせません。その際、特に注目するのは

花を付けた株ではなく、1年目や2年目の若い世代です。種から発芽したばかりの赤ちゃんが

確認できれば、訪花昆虫による花粉の媒介や種子の散布が営まれ、種子繁殖がうまくいって

いる証となりますので、群落の永続性も期待できます。いくら花がたくさん確認できても、

若い世代が育っていない群落では、個体の寿命を迎える数十年後の存続が危ぶまれます。

こちらが1年目のカタクリの葉です。葉というより、もはやモヤシというべきでしょうか。

先端の焦げ茶色の塊は種皮です。目が慣れてくれば、あちこちに1年生が生えていることに

気が付くことでしょう。今年はこのまま枯れていっておしまいです。2年目はもう少しだけ

葉っぱらしい形になりますが、そんなことを何年も繰り返して7~8年目に葉を2枚セットで

付けると、ようやく花を咲かせます。詳しくは昨年の記事をご覧下さい。→カタクリ1年生

カタクリの生態については、現地にも設置しているこちらの解説板が参考になります。

せっかくなので、花を楽しむだけでなく、カタクリの暮らしぶりにも注目してみましょう。

カタクリの周囲では、ミヤマカンスゲやアオイスミレがひっそりと咲き始めていました。

このあと、ナガバノスミレサイシンやイチリンソウなども順を追って開花していきます。

カタクリの手厚い保全活動により、ほかの多様な林床植物も生き生きと育っているのです。





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