11月20日、午前中は秋葉台公園で草刈り、午後は大塚方面の巡回清掃を行いました。
昼休みにながいけの道を散歩すると、メギの赤い実が目に留まりました。
「美しいものにはトゲがある」とはまさにこのこと。別名の「コトリトマラズ」も、
枝に散在するトゲが小鳥も寄せ付けないという例えから名付けられています。
とはいっても、赤い実は鳥散布の証。メギの実を美味しくいただいて種子散布に
一役買っている小鳥が必ずいるはずです。いつかこの目でその正体を突き止めてみたいと
思っています。メギの実を食べている小鳥を見かけたら、ぜひ教えて下さいね!
続いては、巡回中に大塚ぼうげ公園で観察したキミノクロガネモチの話題です。
この公園には4本のクロガネモチが植えられていますが、これらのうち、3本は普通の
クロガネモチで赤い実を付けているのに対し、残りの1本は実が黄色く熟しています。
この1本はキミノクロガネモチという品種です。通常は赤い実の樹種の中で、実が黄色く
熟すものは、他にキミノセンリョウ、キミノガマズミなどがあり、品種として扱われます。
品種は、花や実の色変わりや茎葉の毛の有無のように、種や変種と比べて形質の違いの
度合いが低いので、調査などでは区別されずに一括りにしてしまうことも多くあります。
しかしながら、品種といえど、いずれもちゃんと正式な命名規約のルールに乗っ取り、
タイプ標本を指定し、それを用いて特徴が記され、論文という形で発表されています。
キミノクロガネモチは、今から57年も前の1966年に新品種として発表されたものです。
じつはこの発表には問題があり、発表に用いられたタイプ標本の在り処が書かれていない
ため、長らく所在が不明となっていたそうです。時を経て、今年の2月に愛媛大学農学部の
ハーバリウムにおいて、なんと当時の新品種記載に用いられた標本が発見されました!
(※正確には、タイプ標本そのものに相当する標本ではなく、1952年採取の原資料1点。)
見つかった標本はキミノクロガネモチのタイプ標本(レクトタイプ)として指定されました。
つまり、ようやく「学名」とその基準となる「標本」の両者が揃うことが叶ったわけです。
難しい話ですみませんが、地道な調査研究がもたらした大きな成果に拍手を送りたいです。
3つめは、大塚なかおね公園の水路付近に群生するガマズミ科の植物、ソクズです。
この植物は、草刈りされやすい場所に生えることや、結実率が悪いことなどから、滅多に
実を見る機会がありません。そこで、この場所ではロープで一角に囲いを作って刈り残して
おいたのです。ご覧のとおり、トマトのような小さな赤い実が3粒、実っていました!
ソクズの花を紹介した8月14日の記事に、「果実は見られるでしょうか?」と書いたので、
しっかり伏線回収することができて良かったです。(※緑の丸い物体は実ではなく蜜腺体。)
・・ということで今日は、注目したい3つ“実”をご紹介しました。
毎度のことながら、だいぶマニアックな内容になってしまい、すみません。
最後にクイズでも。松原公園で見かけた真っ赤なこの木はいったい何の木でしょう?