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雑草見てある記-その3

8月11日、アブラゼミの大合唱に紛れて“チッチッ”という鳴き声が聴こえてきました。

正体はカネタタキ。8月半ばから冬までずっと鳴き続ける、鳴く虫のアンカー的存在です。

さて、今日は先日9日の東山方面の巡回清掃中に確認した植物をいくつかご紹介します。

堀之内東山はぐくみの森緑地内、「ふれあい東緑道」バス停向かいの法面草地は、珍しい

雑草が色々と発生するスポットになっています。これまでも、オガルカヤ、メガルカヤ、

ハネガヤ、ハマネナシカズラ、センダングサ、ヒロハフウリンホオズキ、シラホシムグラ、

フシネキンエノコロ、オオアブラススキ、オウシュウヨモギ、アフリカフウチョウソウ、

ヨシススキなど、吹付・緑肥由来と思われる植物をはじめ、様々な種類が発見されました。

法面下部にはマルバツユクサが足の踏み場も無いほど群生していて、その中には珍しい

白花品も混ざっています。仮にシロバナマルバツユクサと呼んでいるもので、通常カラー

よりも花持ちが良く、夕方くらいまで綺麗に花が咲いているのも面白い特徴です。

周囲に咲いていたのはアメリカアサガオ、コバノセンダングサ、チョウセンガリヤスです。

この法面では、黄色い舌状花を持つセンダングサとコバノセンダングサをそれぞれ確認して

おり、写真のものもコバノセンダングサで良いと思われますが、舌状花がありません。

葉が細かく切れ込んで、かつ舌状花を欠く種類としては、未記録のホソバノセンダングサや

オワリセンダングサが知られていますが、単に舌状花が脱落しただけの可能性が高いです。

堀之内沖ノ谷戸公園では外来種のキダチコマツナギ(トウコマツナギ)が咲き始めました。

私の身長(178cm)よりもはるかに大きくなるので、在来のコマツナギとはだいぶ印象が

異なっていますが、茎が木質化することや花穂の長さ、花の色なども識別ポイントです。

これまでも何度か紹介していますが、堀之内沖ノ谷戸公園の展望広場直下の斜面草地では

中国原産のカライタドリがあちこちで枝を伸ばしていました。在来のイタドリとは葉の形や

枝ぶりの違いで見分けられますが、互いに近縁なので、種間交雑する可能性があります。

この周辺も吹付由来と思われる面白い植物が見つかっており、ナガボノシロワレモコウ、

ツルマオ、ミチシバなどを記録しています。いずれも国内に分布する種類ではあるものの、

多摩地域に自然分布するとは考えづらく、やはり大陸産の種子に由来するものでしょう。

堀之内東山そらみの森緑地の芝地も雑草スポットの一つです。これまでに確認しているのは

クサネム、ヒメムツオレガヤツリ、ユメノシマガヤツリ、ノニガナ、ハルザキヤマガラシ、

キバナクレス、アメリカスズメノヒエ、ミゾコウジュ、ヤガミスゲ、ミコシガヤなどです。

外来種だけでなく、攪乱依存性の高い在来の湿生植物が見られるのも特徴の一つでしょう。

2019年に東山住宅の路傍で初めて見つかったメリケンムグラは、瞬く間に勢力を拡大し、

今ではこの芝地でも絨毯のように群生が広がっています。花が大きくて手裏剣のようなので

“シュリケンムグラ”と呼びたくなります。このままどんどん増えていきそうな予感です。

こちらのアレチハナガサをよりスリムにしたような繊細な花は、ヒメクマツヅラです。

アレチハナガサと違って茎に剛毛が無く、細い花穂やはっきりした葉柄のある葉なども

見分ける際のポイントになっています。結実期には、違いがもっとはっきりしてきます。

南方系の外来種ですが、近年、多摩川の河川堤防などでも見られるようになりました。

東山周辺で見られる外来雑草の中では比較的、古株といえるタチスズメノヒエです。

大きくて全体に毛深く、総(穂の枝のこと)が10本以上あるスズメノヒエ類は本種だけ。

長身なので、草刈り前の芝地では一段と目立っていて、まるでススキのようです。

・・ということで、「雑草天国」ともいえる東山の植物をまとめて取り上げてみました。

東山住宅の入居がひと段落し、ホッスガヤやカワラハハコなど、空き地に発生していた

多くの雑草はすでに姿を消してしまいましたが、周辺の公園緑地ではまだまだこれからも

見慣れぬ雑草が生えてくるに違いありません。これからもモニタリングを続けていきます!

おまけ。某所で見つけたガビチョウ(特定外来生物)の巣と美しいスカイブルーの卵です。

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