10月30日、講師の仕事で江戸川区にある東京ECO動物海洋専門学校まで出張してきました。
校舎の中に恐竜博物館(ダイナソーミュージアム)がある、素敵な雰囲気の専門学校です。
講義のあとに少し時間があったので街歩き。旧江戸川方面まで足を伸ばしてみました。
住宅地の中を進むと、植え込みの上を小さな蝶が数匹飛び回っていました。多摩地域なら、
“ヤマトシジミだろうな”と素通りしてしまうところですが、ここならひょっとしたらと
思って近付いてみます。やっぱり!尾状突起にくわえて、翅裏に独特の模様がありました。
この蝶の正体はクロマダラソテツシジミです。名前が長いので、愛称は“クマソ”です笑。
略称というだけでなく、日本神話に出てくる「熊襲」と掛けているところがポイント。
熊襲は九州を本拠地として大和王権に抵抗した種族なのですが、まさにこれと同じように
彼らはもともと亜熱帯地域に生息する種類であったにもかかわらず、1992年には沖縄で、
2006年以降は九州以東でも確認されるようになったかと思うと、2009年には東京で初確認
されて大きな話題となりました。季節風に乗って世代交代を重ねながら分布を北上して
いると考えられますが、関東では気候的に越冬が難しいということも言われています。
近年は南大沢周辺でも、食草であるソテツが植えられているところではたびたび成虫や
幼虫、卵などが確認されています。それでも、他のチョウと比べると存在感はまだまだ
薄いほうです。そんなクマソですが、予想通り、江戸川区では街中のいたるところを
飛び回っていたのでした。住民権を取得したといっても過言ではないかもしれませんね!
ちなみにクマソには季節型があり、6枚目の個体は模様の異なる低温期型のようです。
また、9枚目の壁に止まっている子は雌。翅の表側の青い部分が小さいのが特徴です。
こちらはよく似たウラナミシジミです。ウラナミシジミはもともと全国に分布するチョウで
秋の風物詩として親しまれています。ここではコセンダングサの花に複数のシジミチョウが
入り乱れていました。右の写真はヤマトシジミ、クマソ、ウラナミシジミの揃い踏みです!
・・講義のために訪れた街中で、思いがけず蝶たちと遊ぶことができ、幸せな時間でした。