1月4日、毎年のことですが、私は正月になるとなぜか河川敷をゆっくり歩きたくなります。
職業柄、公園にはいつも行っているから普段あまり行かないところで解放感を味わいたいと
思うのかもしれません。スカッと晴れた冬の日の河川敷はそれはそれは心地が良いのです。
水辺の繁みにゴイサギがいました。夜行性なので昼間は木陰でのんびり過ごしていますが、
私の気配を察知してそろりと移動を始めました。混み合った灌木の隙間からこちらを見る
ゴイサギの眼は真っ赤です。まるで寝不足で充血しているかのようです。でもご安心を。
赤い部分は虹彩で、赤色は色素によるもの。大人のゴイサギはこの色が標準型なのです。
人間の眼が血走って真っ赤になるのは白目の部分ですが、鳥は白目の部分が通常は見えない
ため、普段見えているのは、人間でいう黒目の周りの茶色い部分ということになります。
こちらは一昨年の大晦日、日没前に観察したゴイサギです。すでに辺りは薄暗くなり、
狩りを始めていました。注目すべきは眼です。なんだか冒頭の写真よりも優しい目付きに
見えませんか?虹彩の赤が目立たず、黒目がちだからでしょう。この違いは周囲の明るさに
よるものです。“対光反射”で知られるように、虹彩は、瞳孔の大きさを調節して取り込む
光の量を調整する役割があります。瞳孔と虹彩の色がはっきり異なると、天気や時間帯に
よって表情まで変化して見えるから面白いですね!ちなみに鳥類では虹彩も横紋筋なので、
任意に瞳孔を収縮拡張できるそうです。瞳孔の大きさを自分で変えられるとは凄い能力!
虹彩が真っ赤な鳥は他にもいます。昨年末の記事に登場したこちらのハジロカイツブリを
はじめ、ミミカイツブリ、ホシハジロ、ウミアイサ、オオバン、ケリなどは赤目仲間です。
成長にともなって虹彩の色が変化する種類や、雌雄で虹彩の色が異なる種類もいます。
鳥たちの顔のアップを見る機会があれば、ぜひとも虹彩の色に注目してみて下さいね!