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センボンヤリ

11月28日、終日、大塚西公園の雑木林で林床管理作業(ササ刈り)を実施しました。

雑木林にはワニグチソウ、シュンラン、ヤマユリなどが従来から自生するほか、

林床整備を進めるうちにシャクジョウソウやクチナシグサも出現するようになりました。

その植物相の豊かさは、ここがニュータウンの中心部であることを忘れるほどです。

園路沿いに、キク科のセンボンヤリが花茎を伸ばしていました。左の綿毛は果穂です。

長い茎の先端に付近に膨らんでいる緑色の総苞が閉じた状態のまま、その内側で小花が

咲きます。他の個体との間で受粉することはなく、そのまま自家受粉して結実します。

自家受粉によってできた種子は親と同じ遺伝子を持っているので、クローンということに

なります。クローンばかり増やしてどうするのかと思ってしまいますが、ご安心下さい。

じつは、センボンヤリは春と秋の年に2回、花を咲かせます。春の花は下の写真のような

ごく普通のもの。白い舌状花と黄色の筒状花からなるタンポポ状の頭花で、昆虫によって

花粉は他の個体へと運ばれ、他花受粉して実を結ぶので、遺伝的な多様性は維持されます。

なぜこのように、春の開放花、秋の閉鎖花(厳密には総苞に包まれた開放花)という異なる

花を2回咲かせるのでしょうか?これは予想に過ぎませんが、秋の閉鎖花は生育に適した

場所への“移動”に使っているのかもしれません。植物は自ら動けないので、居心地の良い

環境を求めてそこに辿り着き、定着するためには、種子をたくさん生産してあちこちへ

飛ばす必要があります。移動だけが目的であれば、自身のクローンであっても問題は無い

はずです。春は遺伝的多様性を維持するための繁殖、秋は生育適所へ移動するための繁殖と

2回に分けて繁殖を行うことで、移動と定着を繰り返しているのではないでしょうか。

雑木林内の土の法面(切り通し)という、センボンヤリと同じような環境に好んで生える

植物、キッコウハグマも通常の花と自家結実する花の両方を見ることができます。

こちらは同時期に、左の写真のような白い花を咲かせるものと総苞が閉じたままの花が

あり、生育が安定している群落で稀に前者を見る以外、見かけるのは大半が後者です。

センボンヤリもキッコウハグマも、株の根元に小さな葉っぱが集まっているので、周囲に

下草が繁ってくると光合成に支障が出て、生育に適した環境ではなくなってしまいます。

彼らは次々に自らのクローンを生産して種蒔きを行い、常に居心地の良い場所を求めて

移動を繰り返している、そう考えてみると、少し腑に落ちるような気がします。

もちろん、花を訪れる送粉昆虫がいるかどうかという視点も重要だとは思いますが・・

話を戻しましょう。大塚西公園の雑木林にも返り咲きのタチツボスミレが咲いていました。

そういえば、スミレの仲間も春に開放花、秋に閉鎖花を咲かせて増える植物でしたね。

何年も冬場のササ刈りを繰り返してきた結果、林床のササはナイロンコードの刈払機でも

十分サクサク刈れるくらい、低くて柔らかい状態へと変化し、密度も疎らになりました。

開拓を始めた当初のササは、ブレード(金属の刃)でも苦労するほど手ごわかったのです。

その頃とは一目瞭然、とても感慨深いです。林床の一角にシロヨメナが咲いていたので、

チームメイトの皆さんと相談して群落ごと刈り残しました。細かいことかもしれませんが、

こうした目配りの積み重ねこそが、雑木林の植物多様性向上への第一歩だと考えています。


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