8月16日、台風は関東地方をかすめていきました。雨がおさまった夜空には美しい月が
浮かび、どこからかカンタンの“ルルルル・・”という心地好い声が聴こえてきます。
所用で西多摩の丘陵地を歩いてきました。運良く、雨にはほとんど降られずに済みました。
ゴルフ場に接する尾根道の切通しでは、ちょうどナガバノコウヤボウキが花盛りでした。
近縁のコウヤボウキに比べると、丘陵地では出会う機会の少ないキク科の落葉低木です。
コウヤボウキが一年目の枝の先端にのみ花を咲かせるのに対し、ナガバノコウヤボウキは
一年目の枝には花を付けません。その代わり、葉が車輪状に付く二年目の枝の葉の脇に、
段々に花を咲かせます。また、葉の長さというよりは色や質感に大きな違いがあります。
コウヤボウキよりも1ヶ月ほど早く咲き始めるため、見かけることはあってもたいていは
花が終わっていたりすでに結実していたりしているので、花を見られてラッキーでした!
道中の出会い。マユタテアカネ、ノギササクサ、キダチコマツナギ(トウコマツナギ)です。
2枚目は従来、ササクサとして一括りにされてきた植物ですが、最近の研究でササクサが
種レベルでいくつかのタイプに分けられることが判明し、そのうちの一つで花序軸に対して
花や果実が鋭角に付くものを差します。花や果実が垂直に付くものはハナビササクサです。
人っ子一人いない森の中、けもの道を歩いていると、視界の片隅で何かが動きました。
木立の向こうをホンドタヌキがのんびり歩いています。こちらに気付いていないようです。
カメラを離れたところに置いてきてしまったので、スマホで動画を撮ってみました。
街なかの緑地ではよく目にするタヌキですが、昼間の森の中で出会うのは少し新鮮です。
これだけ縦横無尽にけもの道が張り巡らされているのだから、そりゃ、いますよねぇ!
でも普通、タヌキは必ずといっていいほどこちらを観察してくるので、“こんにちは”も
“さよなら”も言わずに自然体で通り過ぎていく様子に、なんだか野生を感じたのでした。