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ヒタキとのヒトトキ

10月29日、朝から松が谷にある望地公園の草刈り作業を行っていましたが、午前中は来客が

多く、明治大学からのヒアリング対応もあったため、緑地作業を途中で中断して自然館へ。

昼頃からポツポツと雨が落ち始めましたが、気になることがあったため、ながいけの道を

散策してきました。午後は大塚・東中野方面の巡回の予定があったので、昼休みのわずかな

時間でしたが、思いがけない出会いがあり、幸せなひとときを過ごすことができました。

第二デッキ向かいの落ち葉ストッカー付近に差し掛かったとき、「ヒーッピュルルル」と

おなじみの地鳴きが聴こえてきました。夏鳥のキビタキです。最近は園内でも繁殖している

ようですが、この時期の個体は渡りの途中に立ち寄った子がほとんどなのだと思います。

今シーズンは9月下旬くらいから園内に複数羽が滞在しており、ミズキやイヌザンショウの

果実を食べに来たり、水場に降りてきたりする様子をたびたび確認しています。この日は

いつもと違って、雌たちがヤマグワやエゴノキの低い枝を行ったり来たりしていました。

「そろそろ渡らなきゃ・・でも夜までこの雨続くのかな・・」そんな会話が聴こえてくる

ような気がしました。キビタキをはじめ、小鳥は主に夜に渡りを行うので、渡去後の朝には

声も姿もなく、もぬけの殻になっています。じっくり観察できるのも今のうちですね!

キビタキたちとの別れを惜しんでいると、一寸大きなサイズの小鳥がヒラリと飛んできて

近くの枝に止まりました。どうやら先ほどから「ギュッ」と力強い声を発していた正体は

この子のようです。パッと見で体型が細長く、キビタキよりも小顔で嘴が太くて長いこと、

全体に褐色であることなどから、ピンときました。八王子市の鳥でもあるオオルリです!

雄は背面が美しい瑠璃色なので見間違うことはまずないと思いますが、雌が1羽でいると、

案外わからないものですね。人知れず、オオルリまで渡りの途中にここで羽を休めている

ことがわかり、嬉しさが込み上げてきました。なお、渡来直後の初夏の渡りシーズンには

青い雄を何度か観察していますが、秋の渡りでオオルリを見たのは10年ぶりくらいです。

ヒタキたちとの楽しい時間を過ごしたあと、やっと長池まで辿り着くと、浄瑠璃姫の石碑の

向かいにそびえ立つエノキの樹冠から「パチパチパチ」と大きな音が聴こえてきました。

よく見ると、20羽以上ものイカルの群れがエノキの果実をついばんでいる真っ最中でした。

長池公園周辺では、ここ数年、イカルの飛来数が増加傾向にあります。今年もたくさん

やってきてくれました。しばらくは、エノキのパチパチ音が園内に鳴り響くことでしょう。

エゴノキやコナラのどんぐりが大好きなヤマガラも、秋になって存在感を増してきました。

夏鳥の姿が見えなくなったら、顔なじみの冬の小鳥たちとも思う存分遊びたいと思います。

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