2月13日、朝から雨模様のため、緑地の作業は早々に切り上げました。
自然館へ戻る途中、気になっていたクヌギカメムシ類の卵塊を探してみました。
園路沿いのコナラやクヌギの幹を丹念に見ていくと、すぐに見つかりました。
特に、ナラ枯れの影響を受けたコナラの樹皮に多く産み付けられていました。
クヌギ以外にも幅広い樹種への産卵が知られる、ヘラクヌギカメムシの卵塊と思われます。
多糖類を主成分とするゼリー状の物質に覆われていて、少し不気味な外見ですね。
晩秋に産み付けられた卵は、ちょうど今頃から孵化が始まります。
幼虫はこのゼリー状物質を食べて育ち、春に木々が芽吹く頃、植物の汁を吸い始めます。
ゼリー状物質には、幼虫が成長するために必要なだけの栄養分とともに、
その後、春からの新生活に必須となる共生細菌が含まれていることがわかっています。
ヘラクヌギカメムシの一生は、「ゼリーとともにあり!」といっても過言ではないですね。
卵塊の多くは樹皮に直接産み付けられ、剥き出しの状態なので心配になってしまいます。
そんな中、樹名板の裏に潜り込んで産卵している強者もいました。
確かにここなら安心そうですが、すぐ隣には肉食のキハダエビグモが待ち構えています。
雨風は凌げても、捕食者を回避できるシェルターとまでは、いえなさそうです。
これから春に向けて、幼虫の孵化や、成長の様子も引き続き観察してみたいと思います。
最後におまけ。卵塊探し中に、樹皮の隙間で冬越し中のカメムシを見つけました。
残念ながらヘラクヌギカメムシではありませんでしたが、こちらもコナラと縁の深い
ナカボシカメムシという種類でした。すっぽりとはまって、居心地が良さそう!