4月13日、朝からヒヨドリが賑やかに鳴き交わしながらコナラの雄花を食べていました。
この花をついばんでいるヒヨドリたちの声は、いつもよりもダミ声に聞こえます。
「ヒーヨヒーヨ」ではなく「ギャーギャー」という感じです。
ムクドリかガビチョウの声?と思って姿を確認してみると、やはりヒヨドリなのです。
もしや、この“声変わり現象”は喉に媚びり付いた花粉が原因なのでは?と疑っています。
突然ですが、これらの草花の共通点は何でしょう?
ケキツネノボタン、キツネアザミ、キツネガヤ。そう、名前に“キツネ”が付くことです。
もう一つ共通しているのは、どれも身の回りで普通に見られる雑草であるということ。
名前に“キツネ”の付く植物はことのほか多く、かつてはそれだけ人々にとって
身近にいる動物であったことがわかります。では、現在はどうでしょう?
野生のキツネなんて、見たことがある人はほとんどいないのではないでしょうか。
狩りをしやすい見通しの良い草原や疎林、かつ、野ネズミが豊富に棲む原野的な環境は、
人々の暮らしの変化や開発により、同時多発的に失われていきました。
野生のキツネ(以下ホンドギツネ)は、街なか暮らしに適応したタヌキとは反対に、
すでに私たちの生活圏から遠く離れた存在になりつつあるのです。
先日6日、市内西部の緑地での植物調査中に、ホンドギツネの巣穴を発見しました。
民有地なので普段は立ち入れない場所です。稜線に広がる草地の一角、台地状に
なった段差の部分に、横幅10数メートルにわたっていくつも巣穴が掘られていました。
巣穴の手前側には「テラス」と呼ばれる盛土が横に連なっていて、掘った土を内側から
押し出して溝状の「アクセストレンチ」となるアナグマとは、一見して異なる門構えです。
表札代わり(?)のクサボケの花もいい感じ。まだまだ、どっこい生きているんだなぁ・・
実は、2020年4月に由木地区内のある谷戸でホンドギツネに出会っています。
上の3枚はその時の写真です。2000年代前半までは南大沢周辺でも繁殖が確認されて
いましたが、その後は目撃例もほとんど無く、絶滅も心配されていた矢先のことでした。
おそらく、日中は人目に付かない森に潜んでいて、夜間は周辺の造成草地などで
活動し、密やかに生き延びてきたのではないかと考えられます。
そう思うと、造成草地のほとんどが宅地化・商業用地化されつつある昨今、彼らはいよいよ
居場所を失ってしまうのではないかと気が気ではありません。
果たして、公園管理者という立場で、彼らを救うためにできることはあるのでしょうか?
・・そんなモヤモヤが一気に現実味を帯びる出来事がありました。
なんと、長池公園内に仕掛けられたセンサーカメラに、ホンドギツネが写ったのです!
撮影日時は昨年の12月27日未明。ほんの一瞬ですが、真っすぐな尻尾や軽快な走り方など、
ホンドギツネの特徴がしっかり写っています。
このカメラはヤマザキ動物看護大学が研究目的で設置しているもので、
今回、特別に動画を提供していただきました。
キツネに限らず、公園の緑が最後の頼みの綱となるかもしれない生き物はたくさんいます。
そうした生き物たちを、“ノアの箱舟”としていつでも受け入れられるように、
周囲の環境変化も捉えながら、広い視野を持って環境保全に努めていきたいものですね。