11月10日、「今年は秋が短い」・・そんな声をよく聞きます。確かにすでに季節は立冬を
迎えており、暑かった夏が終わったかと思ったら、あっという間に冬が近付いてきました。
子どもたちの寝かしつけ前に読んだ絵本「きんいろのてがみ(ひさかたチャイルド)」の中で
のねずみのおばあさんが、こりすにこんなことを話していて、妙に納得してしまいました。
「あきはね、かぜのようなものなのさ。とまらずにただとおりすぎていくだけなんだよ。
でも、そのあいだにもりがプレゼントをくれるのさ。」・・なんだか素敵な言葉ですよね!
この日は昭島方面へ出かける途中、信号待ちの車の窓から面白い雑草を見つけました。
何気なく見た中央分離帯にびっしりと生えていたこちら、ショウジョウソウモドキという
外来植物です。主に沖縄など西日本に定着している種類で、私は植物園以外では初めて
お目にかかります。近くの駐車場に車を停めて、改めてよく調べてみると、国道沿いの
路傍や歩道の隙間など、およそ300mほどの範囲に広く分布していることがわかりました。
花や果実、形のバラエティに富んだ葉と草紅葉の様子など、じっくり観察したのでした。
種類は多くありませんが、中央分離帯のアスファルト間隙という過酷な環境を好む雑草は
他にもあります。トゲヂシャ、キクニガナ(チコリ)、ハイミチヤナギ、シロイヌナズナ、
イヌカキネガラシなどです。これらの種類に共通しているのは、アルカリ性土壌を好み、
極度の乾燥や排気ガスなどに強いことです。原産国での生育地もきっと過酷な環境下なの
でしょう。これらの雑草は走行中の車内から見つけることがほとんど。じっくり観察する
ためには人目や車の往来を気にしなければならないので、じつに観察者泣かせの面々です。
さて、ショウジョウソウ“モドキ”とはなんとも可哀想な名前を付けられてしまったもの
ですが、もちろん本家のショウジョウソウという植物が存在します。ショウジョウソウは
園芸店などでも普通に扱われており、庭先や花壇の植栽から逃げ出した個体をときどき
目にします。独特な葉の色や形から見間違えることはないと思いますが、言われてみれば
植物体の構造やパッと見の雰囲気はよく似ています。皆さんも周りで探してみて下さいね。
おまけ。長池公園自然館では、小・中学生を対象とした女子美術大学との共催イベント、
「長池公園の自然を感じる陶芸教室」が初の試みとして開催されました。子どもたちの
創造力溢れる作品をご紹介します。公園内の落ち葉や木の実を使って粘土の表面を装飾して
いるそうです。完成が楽しみですね!※イベントの様子は多摩テレビでも放送されます。