11月13日、午前中は、調査の仕事で市内北部(加住丘陵)の民有緑地へ出かけてきました。
丁寧に手入れされた雑木林は歩きやすく、植物相も豊富です。一方、斜面の下部は藪が
生い茂り、全身で笹や下草を掻き分けながら、前に進むのがやっとという状態でした。
苦労して調査した甲斐あって、いくつか嬉しい発見がありました。その一つがこのキノコ。
マンネンタケです。見た目ではわかりづらいですが、触るととても硬くてびっくりします。
2年ぶりに出会ったので、お土産に持ち帰ってきました。早速、自然館に展示しています。
すぐそばには秋の里山の代表格、リンドウが数株咲いていました。緑一色の林床で、目の
覚めるのようなブルーが際立ちます。リンドウは減少著しい植物。他の下草に埋もれながら
人知れず咲いている姿は、手厚く保護された公園で見るのとはまた違った感動があります。
一方、樹木も興味深い種類が見られました。多摩丘陵ではマルバアオダモが圧倒的に多く、
近縁のヤマトアオダモは多摩Ⅰ面と呼ばれる地層区分に位置する一部の地域でしか見られ
ないのですが、ここ加住丘陵では形勢が逆転し、ヤマトアオダモのほうが多いくらいです。
写真のツクシトネリコ(ヒロハアオダモ)はヤマトアオダモの一型で、成木の小葉裏面脈上に
毛が密生するもの。マイナーな種類ですが、この地域を特徴付ける重要な樹種でしょう。
調査中の一コマです。順にオトコヨウゾメ、コバノガマズミ、ニシキギ、ネズミガヤ、
コメナモミ、ツリガネニンジン、ノダケ、ヒメハラナガツチバチ、ニホンアナグマ(巣穴)。
ニホンアナグマの巣穴は、斜面を下降中に左足が穴に滑り込んだことで気が付きました。
なお、この調査地はヤマウルシがやたらに多く、特に実生個体は避けて歩くのが難しいほど
あちこちに見られました。葉っぱの写真を撮るとき以外にも、知らず知らずのうちに触れて
しまっていたに違いありません。帰宅すると案の定、その代償(症状)が出てきたのでした。
右の首筋を中心に、肌が真っ赤に色付き、熱を帯びています。ウルシかぶれはすでに何度も
経験しているので驚きもしませんが、いいものではありません。(翌日には回復しました!)
ところで、この日の午後からは秋葉台第1・第4学童合同(約25名)による公園アドプト活動を
支援しました。“みんながいつも遊んでいる公園で、お仕事を手伝ってもらう代わりに、
楽しいものや綺麗なものをたくさん教えてあげますよ!”というのが企画の主旨です。
前半は通路沿いの植栽に絡んだツル取り、後半は草花遊びと木の実探しを実施しました。
子どもたちは、こちらがびっくりするほど楽しんでツル取り作業に取り組んでくれました。
あっという間にほとんどのクズやヤブガラシが取り除かれ、職員の方も「ちょっと小学生と
いっても侮れないですね!」と話していました。放課後なのに、みんな元気で素晴らしい!
後半の観察タイムはいつもの感じなので割愛しますが、こちらもとても盛り上がりました。
おそらく、市内においては、平均年齢が最年少の公園アドプト団体ということになると思いますが、自分たちの公園を自分たちで綺麗にする、そしてそれを楽しむという経験の尊さを
目の当たりにして、このような取り組みこそ積極的に支援したいと強く思ったのでした。