6月19日、講師のお仕事で、横浜市緑区に残る緑のオアシス、北八朔公園を散策しました。
ここでは、公園愛護会メンバーによる植物の調査や保全活動が精力的に行われています。
受講生の一人、Yさんがそれらの活動に中心的に関わっており、ご案内をお願いしました。
バス停から公園までの道のりも、畑や田んぼの生き物が気になってなかなか前に進まず・・
ようやく公園の広場に着いた頃にはお昼をまわっていました。ひとまず昼食をとろうと
ベンチへ向かっていた矢先、視界の片隅に、3本並んだエノキの材木が目に入りました。
一応、何か止まっていないか確認していくと、ヒシモンナガタマムシが集まっていました。
珍しい種類ではありませんが、小豆色の菱形模様と、飛んだ時に見える胴体のブルーの
煌めきは一見の価値があります。昼食は後回しにして、しばし観察タイムとなりました。
近くにはこんなカミキリムシもいました。はじめはビロウドカミキリかと思いましたが、
頭部まで点刻があり、翅の模様や触角の形態からみて、ニセビロウドカミキリのようです。
アジサイの葉の裏には、長池公園では見かけないフタオビミドリトラカミキリの姿を発見!
おなじみのカタシロゴマフカミキリやラミーカミキリ、ナガゴマフカミキリなども多数・・
公園に着いた直後から次々と甲虫が現れ、自然の豊かさを改めて目の当たりにしました。
公園と周辺の農耕地は緑一色となり、すっかり夏の装い。清々しい景色が広がります。
足元には、地元の小学生が描いた可愛いサインがありました。コメントが素敵ですね!
今回の散策で特に嬉しかったのは、タマノカンアオイの分布南限の自生を見れたことです。
八王子市、多摩市、日野市、町田市、川崎市などを中心に見られるタマノカンアオイは、
南東の横浜市にも分布が及んでおり、ここ、北八朔公園で分布が止まるといいます。
長池公園をはじめ、私たちの管理する公園には数百単位のタマノカンアオイが生育して
おり、身近な存在ですが、その分布がこの小さな里山で途切れているとは驚きです。
その他の動植物をダイジェストでご紹介します。順に、ヤブキリ、カメノコテントウ、
コアシナガバチ、アカボシゴマダラ(夏型)、ニホンアマガエル、ジョウシュウカモメヅル、
ウナギツカミ、ナワシロイチゴ、オオバヤシャゼンマイ(オクタマゼンマイ)、モクゲンジ、
ヤマハゼ、ネムノキです。写真はありませんが、神奈川県ではここと箱根仙石原でしか
見つかっていない希少種ミズオトギリも、湿地のカサスゲ群落の中に顔を出していました。
生物多様性に溢れたとても良い里山だったので、季節を変えてまた訪れたいと思います。