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奥多摩の植物

5月24日、講師の仕事で奥多摩の白丸湖から鳩ノ巣渓谷を歩いてきました。

今回も様々な動植物に出会いましたが、印象に残った植物をほんの一部、ご紹介します。

岩場に点々と咲いていたゼンテイカ(ニッコウキスゲ)です。ニッコウキスゲといえば、

霧ヶ峰や奥日光など夏の高原に咲くイメージが強いですが、じつは東京都内の渓谷にも

低地型が分布しているのです。低地型は、高原のものよりもだいぶ早く開花します。

東京都レッドデータブック2023で私が解説を担当した種類の一つでもあり、思い入れのある

植物。今回、岩肌から生える野生味あふれる姿を見ることができて良かったです。

ゼンテイカ以外にも、岩場ではクガイソウやユキヤナギなど東京では希少な自生植物が

数多く見られました。また、写真のヤシャゼンマイはゼンマイの渓流適応型。

小葉が細長く、付け根が楔形になっているのが特徴で、冠水してもダメージが少ない仕様に

なっています。日本の環境に合わせて独自の形態に分化した日本固有のゼンマイなのです。

今回の散策でもっとも嬉しかった発見はこちらのシダです。その名もオクタマシダ!

「奥多摩」の名を冠する植物には、オクタマスミレ(エイザンスミレ×ヒナスミレ)、

オクタマゼンマイ(ゼンマイ×ヤシャゼンマイ)、オクタマコアジサイ(コアジサイ×ガク

ウツギ)などがありますが、いずれも雑種に付けられた名前。一方、このオクタマシダは

雑種ではなくれっきとした独立種です。(実際には奥多摩だけでなく広く分布しています。)

やはり、出先でその地域にゆかりのある植物と出会えると、心が躍りますね。

それを見つけられる、見分けられる“シダ眼”を持っていて良かったと改めて思いました。

動植物ばかりでなく、湖や渓谷の美しい景色も堪能することができ、大満足の一日でした。

公園とは関係の無い話題ですみませんが、夏の奥多摩、とってもおすすめです。

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