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日傘を差したタチツボスミレ

3月29日、青空の下、雑木林の芽吹きと桜の花吹雪がうっとりするほど美しい一日でした。

午前中は、ある講座の下見で担当者をお連れして長池公園を散策しました。

その道中、「はっ!これは!!」と、おかしな姿をした植物に目を奪われました。

花、茎、葉などの特徴は紛れもなくタチツボスミレなのですが、明らかに様子がおかしい。

まるで、花が葉っぱの日傘を差しているような格好なのです。

後方から見てみると、普通は細長い星形で花に隠れるほど小さいはずの萼片、

その5枚のうち3枚が肥大して、完全に葉っぱになったものであることがわかりました。

大きいだけでなく葉脈や葉緑素もちゃんとあり、葉っぱとしての機能も備えていそうです。

このような葉化現象は、起源が同じである花びらや雄しべ、萼片などの器官でしばしば

見られるのですが、特に花の葉化については病原性細菌ファイトプラズマに起因して

生じる一種の“病気”であることが、そのメカニズムとともに明らかにされています。

今回の萼片葉化も同じように捉えて良いのかはわかりませんが、珍しい奇形品であることに

変わりはありません。“ハガクレタチツボスミレ”と勝手に名付けてみたりして・・笑

なお、花が葉化したものには「ミドリタチツボスミレ」という品種名が付けられています。

長池公園でも稀に見つかることがあり、葉化に伴って距(蜜のある部分)も退化して

真上を向いて咲いているので、摩訶不思議なビジュアルをしています。

もはや、普通がどんな姿だったかわからなくなりそうなので、典型品も見ておきましょう。

今日も色々な植物を観察しましたが、それらはさておき、おバカエピソードを一つ。

堀之内寺沢里山公園で毛むくじゃらの可愛い芽出しを見つけました。イヌシダです。

シダの芽出しは、その形をバイオリンに見立てて“フィドルヘッド”と呼ばれています。

イヌシダのフィドルヘッドは、全てのシダの中で私にとって一番のお気に入りなのです!

あんまり愛おしいので、どうやら周りが見えなくなっていたのでしょう。

その足元に、バッグを置き忘れてきたことに気が付いたのは約1時間後のこと。

幸いバッグはすぐに見つかり、中に入っていたレンズや双眼鏡も無事でしたが、

危うく、フィドルヘッドと引き換えにカメラバッグを失うところだったのでした。

皆さんも、熱中のしすぎにはくれぐれもお気を付けて!




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