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溢泌(いっぴつ)と千葉の動植物

12月3日、調査の仕事で朝早くから千葉へ出張してきました。夕方からは東京都立大学での

講義が控えており、慌ただしい一日となりました。調査地の最寄り駅にコインロッカーが

無かったのは誤算で、行動用のリュックに加えて、PCの入ったバッグを片手に持ったまま、

調査を行ったので余計に体力を消耗してしまいました。いや、良い筋トレになりました笑。

調査を始めた9時半頃、日陰の雑草には朝露が見られました。窓の結露と同じメカニズムで

水滴が付く純粋な“朝露”もありますが、写真のオニノゲシは葉の縁のギザギザに水滴が

付いているので、“溢泌(いっぴつ)”という現象でしょう。溢泌は、日中に光合成のために

取り込んだ余分な水分を水孔から排出するものです。溢泌液には炭水化物やたんぱく質が

含まれるため、虫たちにとって重要な栄養源になっているそうです。昆虫にとって大事な

花粉や蜜が不足する季節でも、代わりに溢泌液から栄養を補給できるというわけですね!

このことは、ラトガース大学、バレンシア農業研究所、バレンシア大学の研究グループに

よって明らかにされました。水滴の付いた草を見ると、昆虫の姿も探してみたくなります。

調査対象は植物がメインですが、指標種をはじめとする生物についても記録を行います。

鉄塔直下の草地ではチョウゲンボウが観察されました。どんどんこちらに向かってきたので

慌てて望遠レンズを取り出しますが、荷物が多くてもたつき、あえなくこんな証拠写真に。

チョウゲンボウはオープンスペースで野ネズミや小鳥を狩って暮らしているので、農地や

草地の生態系上位種としてとても重要な存在です。敷地外ではありますが、珍しくなった

ホンドギツネの巣穴や足跡も確認できました。センサーカメラを仕掛けて調べたいですね!

珍しいものではありませんが、シロダモの花が満開でした。案外、花盛りを逃しがちな樹木

だと思います。写真は雄花で、雄の木です。雌花を付ける雌の木には赤い果実が成ります。

何気なくカメラを向けた動植物をダイジェストで。順に、ホトケノザ、フラサバソウ、

アキノノゲシ、アカガシ、ヤツデ、タブノキ、ナミテントウ、キタテハ、クビキリギス、

オオミノガ、ヒヨドリジョウゴ、ホンドタヌキの食痕(歯形付きのマヨネーズ容器)です。

夕方の講義が無ければ、調査後にもっとゆっくりしたかったところですが、またの機会に!


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