1月9日、森林総合研究所多摩森林科学園の植物相調査に参加してきました。東京都環境局、
牧野標本館、奥多摩植物誌プロジェクトの皆さんと、常緑シダ類をメインに観察しました。
職員の案内で2グループに分かれて歩き始めると、近くでリュウキュウサンショウクイが
鳴き始めたので、早速レンズを付け替え・・構えた時にはすでに姿はなく、その代わりに
ルリビタキが姿を見せてくれました。よく見ると鳥類標識調査の足環が付いていますね。
年末の記事でも書いたように、ルリビタキの雄は青くなるまでに数年かかるので、この子は
成熟した雄ですが、近くにいたジョウビタキの雄と互いに牽制し合っているようでした。
調査中には、ハイタカ、トラツグミ、ミヤマホオジロ、ビンズイなども現れてくれました。
山麓だけあって、あちこちでシカやイノシシの被害が目立ちます。先頭を歩いていた時、
10mほどの至近距離を4頭のイノシシが林道を横断していきました。写真はお尻だけですが。
稜線では所々にホンドタヌキのため糞も見られ、ケモノの気配がプンプンする道中でした。
肝心の植物ですが、主にシダを中心に記録していたので、特徴的なものだけピックアップ。
順に、ヒメカナワラビ、アカハナワラビ、クジャクシダです。このほか、マルバベニシダ、
ヒメイタチシダ、コバノイシカグマ、オオバノアマクサシダ、トウゲシバ、ウチワゴケ、
オニカナワラビ、サイゴクイノデ、ハタジュクイノデなどを確認することができました。
以前は正月休みに“新春シダめくり”と称して一人で谷を分け入っていたこともあるほど、
私はシダ植物に魅了されているので、シダ好きの皆さんと一緒に歩けて至福の時間でした。
東京都ではこの場所でしか確認されていないミヤマノコギリシダも見ることができました。
生育地は残念ながら未公開エリアですが、年々、生育状況は良くなっているそうです。
普通の人から見れば何の変哲もないシダ。見つけた方も、見守ってきた職員の皆さんも、
素晴らしいですね。地味な植物こそ、愛情を込めて保全に努めていきたいものです。
安全に配慮しつつ丁寧にガイドして下さった職員の皆さんはじめ、パワフルな調査チームの
皆さんに、改めて感謝致します。また機会があれば季節を変えて訪ねてみたいと思います。