10月17日、調査の仕事で福島県二本松市のとある企業の敷地へ、日帰り出張してきました。
午前中に現地着、昼過ぎには一仕事終えて14時前の電車で帰京するという強行軍だったので
寄り道する余裕は無かったのですが、ご当地雑草だけはしっかりチェックしてきました笑。
駅前ロータリーに見慣れないアザミが生えていました。北海道や東北地方ではおなじみの
セイヨウトゲアザミです。東京都内では木場公園の帰化植物見本園でしか見ていませんが、
定着状況はどうなのでしょう?多摩地域で目立つ外来アザミといえばアメリカオニアザミ。
アメリカオニアザミは全身トゲトゲで総苞も茎葉もいかつく、触るのも躊躇する姿なのに
対して、こちらのセイヨウトゲアザミは全体につるっとしていて大人しい雰囲気です。
しかしながら、葉には鋭いトゲがちゃんとありました。綿毛と地下茎からの再生によって
増えるそうで、侵略性の高さはというと、アメリカオニアザミに引けを取らないようです。
調査地周辺で度々見かけたこちらの植物はコバノセンダングサ。多摩地域でも局所的に
発生していますが、ここではまとまって群落を作っていました。黄色い舌状花を持つ点は
センダングサと共通しています。両者の大きな違いは、葉の切れ込み方と果実の形状です。
水辺には3種の外来センダングサ類が並んで生えていました。左がコバノセンダングサで、
中央がアメリカセンダングサ、ピントがずれていますが右手にはコセンダングサの姿も。
どれもひっつき虫の果実で運ばれるので、うっかりすると服があっという間に種だらけに!
内陸の田園地帯が思いのほか外来種ばかりなのには逆に驚きましたが、阿武隈川の河川敷は
アレチウリなどが繁茂し、私が歩いた範囲ではほとんどの田んぼで除草剤が使われており、
水田雑草もほぼ皆無という状況を自分の目で確認できた意義は大きく、やはり東京都内に
細々と生き残る在来雑草を保全することには大きな意味があると改めて思ったのでした。
そんな中でも、畦道で普通にタウコギ(写真)が開花している様子を見て、ポテンシャルの
高さは垣間見れました。本種は現在、八王子市内では2ヶ所でしか確認されていません。
さて、調査以外で見た雑草の話だけで終わりそうなので、肝心の調査の様子を写真にて。
さほど広くない敷地にもかかわらず、160種を超える自生植物とヒバカリなど複数の生物を
記録することができました。下3枚は、調査中じっとこちらを観察していたご当地猫です。
とんぼ返りではありましたが、たまには関東を離れて他地域の自然を知るのも大切ですね!
おまけは調査中に出会った昆虫。ヒナバッタ、ヤマトアザミテントウ、ノシメトンボです。