5月6日、庭や芝生、植え込みなどいたるところでニワゼキショウが花盛りです。
人々からここまで可愛がられている“外来種”も珍しいですね。
花の美しさはもちろん、お昼頃には多くの花がしぼんでしまう儚さと、繁殖力旺盛で
中央分離帯を埋め尽くすほどのたくましさというギャップも、魅力かもしれません。
そんなお馴染みのニワゼキショウには、兄弟分のような仲間たちがいます。
今回は、ニワゼキショウの仲間を写真とともに解説していきます。
・ニワゼキショウ
まずはもっとも普通に見られるニワゼキショウから。花の色は、鮮やかな紫色のものと、
淡い青紫色のものの2つのバリエーションがあります。(写真2枚目)
よく刈り込まれる芝生などでは、矮性化して別人に見えることもあるのでご注意下さい。
・オオニワゼキショウ
ニワゼキショウと同じような場所で見られる背高ノッポの別種です。
ニワゼキショウと比べて花は小ぶり。花被片(花びら)は内側の三枚と外側の三枚とで
少し形が異なっています。花の色はだいたいみな同じで変異が少ないようです。
後半3枚は、隣り合うニワゼキショウとオオニワゼキショウの比較。大きさが違いますね!
・アキマルニワゼキショウ
ニワゼキショウとオオニワゼキショウが混生する環境でよく見られる両者の自然雑種。
最大の特徴は、果実が稔らず、花が枯れたあとに棒状の花柄だけが残ること。
まるでお線香の先端のように見えます。背丈はニワゼキショウと変わらず小ぶりですが、
花はニワゼキショウよりもさらに大輪になるものが多くてよく目立ちます。
種子の代わりに腋芽で増えるそうですが、繁殖方法についてはまだ観察不足です。
・ルリニワゼキショウ(アイイロニワゼキショウ)
湿っぽい環境で見られる大型のニワゼキショウ類。花は淡い青紫色で、花被片の先端が
すっと細長く伸びているのが印象的です。また、ニワゼキショウなどと異なり、雄しべが
合着しています。茎にはっきりとした翼(ヒレ)があることから、ヒレニワゼキショウの
別名もあります。ハナビゼキショウというイグサ科の全く別の植物にも、茎に瓜二つの
翼があり、名前や姿が似ているという不思議な偶然。“他人の空似”とはまさにこのこと!
・ヒトフサニワゼキショウ
前者とともに、雄しべが1つに合着する特徴を持つ大型のニワゼキショウ類。
花は青みが強くて縦筋が目立ち、中心の黄色とのコントラストが鮮やか。
また、一つの茎に一つの花序を付けるのが特徴です。北海道でもっともよく見られる
ニワゼキショウ類なのだそうですが、首都圏では滅多に見ません。出会えたら幸運です。
いかがでしたでしょうか?この仲間、各々が魅力的な姿をしていてまさに粒揃いですね。
特に、オオニワゼキショウはニワゼキショウと同じくらいよく見られるので、
まずは基本の2種類をじっくり見比べてみることをおすすめします。
また、アキマルニワゼキショウも雑種としては珍しく見分けが簡単で、
案外どこでも見られるものなので、ぜひお近くの散歩道で探してみましょう。
なお、純白花のセッカニワゼキショウについては先日5日の記事をご参照下さいね。