5月7日、出勤した直後に「チョリチョリチョリ」というさえずりが聴こえてきました。
すぐにピンときて、声のする駐車場裏へ確認しに行くと、やはりメボソムシクイでした。
富士山などの亜高山帯で繁殖する夏鳥で、長池公園には渡ってきた直後に立ち寄ったものと
思われます。長池公園でこれまでに記録のあるムシクイの仲間は、センダイムシクイ、
エゾムシクイ、オオムシクイです。これらは毎年あるいは数年に一度のペースで確認され、
いずれもさえずりが特徴的です。互い姿は似ていても、さえずりさえ聴かせてくれれば
確実に同定ができます。私が長池公園でメボソムシクイを確認したのは今回が初めて
でしたが、やはりさえずりが決め手となりました。双眼鏡ではなんとかその姿を捉えられた
ものの、写真はうまく撮れなかったので、証拠の音声を記事の最後に載せておきますね。
小雨のぱらつく中、下柚木小学校の学校林へ。出張授業の下見・・ではなく仕込みです。
事前に学校の許可はいただいていましたが、校庭に隣接する学校林の中に怪しい人影(私)、
しかも肩にカメラ、両手にセンサーカメラを携え、落ち着かない様子でうろうろと徘徊。
途中で我に返って、「決して怪しいものではありません!」と心の中で叫びました。
子どもたちをワクワクさせたい一心で用意した仕掛け。うまく結果を残してくれますよう!
足元では、雨に打たれる野花が美しく、つい見とれてしまいました。なんだか二人乗りの
リフトを連想してしまうアマドコロ、仲良く並んだフタリシズカ、葉っぱの上から身を
乗り出してこちらの様子を窺っているかのようなミヤマナルコユリ。素敵な時間でした。
常連のSさんが、自然館に珍しい甲虫を持ってきて下さりました。発見されたのは同じく
常連で近隣にお住まいのTさんです。SさんもTさんも自然観察の大先輩であり、いつも
私の知らない生き物のことをたくさん情報提供して下さるので、本当に感謝しています。
さてこの甲虫、ご覧のとおり、細くて平べったいとても不思議な体型をしています。
昨今のナラ枯れ問題を引き起こしたカシノナガキクイムシの坑道に入り込み、捕食する
独特の生態を持っており、体型もそのような生態を持つがゆえのものだといいます。
その名もルイスホソカタムシ。果たして、ナラ枯れ拡大の救世主となり得るのでしょうか?
もう一種、こちらは自然館スタッフが近所の手すりで見つけたというカミキリムシです。
一目見て、「ハイイロヤハズカミキリ!」と思わず小躍りしました。広く分布している
ようなのですが、食草である竹類やヨシの茎の中などに潜んでいることが多いからか、
私はまだ実物を見たことが無かったのです。つい欲が出て、あっちからも、こっちからもと
観察を続けているうちに、なんと、私の指から飛び立って急上昇!そして展示室1の方向へ
消えていきました。はっ!・・やってしまった・・!その数分後に発見者のスタッフが
出先から戻ってきました。「あ、あの、ちょっと油断したら飛んでいってしまって・・」
そこからはひたすら謝罪です。その後、自然館内を探し回ったのは言うまでもありませんが
結局、再び姿を見せてくれることはありませんでした。どなたか、自然館内でこの姿を
見かけましたら教えて下さい。(粗品を差し上げます。)インセクトホテルの展示の竹筒の
中で息を潜めていそうな気がしています。元気にやっていてくれればいいんですけれど!
おまけは雨の長池公園での一コマ。雑木林トレイルのホオノキ、やまざと駐車場で満開の
ジャケツイバラ、そして第一デッキの対岸で元気にさえずっていたキビタキの雄です。
※動画の冒頭と終盤でメボソムシクイがさえずっています。中盤はヒヨドリの声です。